恋愛心理研究所 愛と恋愛の心理学

25年ぶりに聞いた一言「あれは俺の子じゃなかった」

「妊娠できない」と嘘をつき続けた25年。夫が明かした真実の瞬間、妻の欲望はいっそう熱く燃え上がる。

妊娠への渇望夫婦の秘密欲望と裏切り中年結婚虚しい夜

「あれは俺の子じゃなかった」

智秀(ジス)は、夫・敏洙(ミンス)の言葉が現実のものだと信じられなかった。ダイニングテーブルに置かれた2本の妊娠検査薬が、くっきりと陰性のラインを示す夜、世界が静まり返っていた。

25年ぶりの“過ち”だったのか、それとも25年前の真実が今炸裂したのか。


彼が消えた夜

私はどんな感情を先に手にすべきだろう。 怒り、裏切り、虚しさ──どれも手のひらに乗らなかった。ただ25年間、心身に刻んできた「妊娠は不可能だ」という一文が埃のように舞い散った。

それが始まりだった。子のいない人生を美しく受け入れたふりをし、互いを慰め合ってきたと信じていたのに、敏洙の口から蛇のような言葉が這い出てきた。

「ずっと前から話そうと思ってた。遅すぎたけど」

智秀はうなだれた。敏洙の声には反省より弁解が先に滲んでいた。その瞬間、智秀は敏洙の手に触れてほしいと願った。しかし指先は目の前で遠のいていった。

ああ、だから去年の冬も私はソファに横たわっていたのね。


欲望の解剖学

子どもはいなかったが、妊娠への渇望はあった。黒い誕生と白い喪失の狭間で、敏洙は智秀の腹を傷跡に変えた。

25年間、性行為を避け続けた本当の理由は何だったのか。単なる不妊治療の副作用? それとも別の女の匂いをごまかすための方便?

智秀は敏洙が毎晩、浴室に隠していた薬の袋を思い出した。バイアグラ? それとも経口避妊薬だったろうか。

子どもを持たないという約束がこれほどまでに頑なだったのに、なぜ今さら真実を口にするのか。

敏洙の瞳にはなお欲望が宿っていた。しかしその欲望の対象が智秀であるかどうかは、もはや確かめようがなかった。


まるで実話のような話

ケース1 秀賢(スヒョン)&正国(ジョングク)

秀賢(45)は夫・正国(48)と19年間、妊娠を諦めてきた。正国は大学時代のボランティアで出会った子どもを隠していた。子どもは別の女の腹で育ち、正国はその事実を19年間、智秀のように知らないふりをしていた。

秀賢は去年の秋夕(チュソク)に、正国の実家で偶然見つけた写真を手に帰ってきた。子どもの瞳が正国にそっくりだった。

「あのときどうして泣けなかったんだろう。涙を流しながら、心の中であの子を思い浮かべた。私が産めなかった子ども、私が愛した男の子どもを」

ケース2 有珍(ユジン)&道賢(ドヒョン)

有珍(40)は道賢(42)との初夜から、不育症の診断を受けた。道賢は有珍の両側卵巣をそのまま受け入れた。しかし10年後、道賢は会社の同僚との不倫で子どもをもうけた。

有珍は病院で道賢の子どもを初めて見た。子どもはすでに有珍に似た面影を持っていた。

もしかして私が欲しかったのは、道賢の子どもを産むことではなく、道賢そのものを私のお腹に閉じ込めることだったのかもしれない。


なぜ私たちはそれに惹かれるのか

妊娠は単なる生殖ではなく、相手を縛る痕跡を残す方法だ。智秀は敏洙の瞳に自分を隠す視線を見た。その時間の中で敏洙は智秀を制御しようとし、智秀は敏洙を守ろうとした。

二人とも互いを愛していたと語ったが、愛は次第に傷跡へと変わった。

タブーとは、ある者にとっては当然で、別の者にとっては不可能であることを意味する。智秀にとって妊娠はタブーだったが、敏洙にとっては密やかな可能性だった。

そして25年が経って、ようやく智秀はその可能性が自分には決して開かれていなかったことを悟った。


閉じない扉

智秀は敏洙の手を取った。取った手はすでに見知らぬものだった。それでも智秀は問うた。

「今でも私を欲してる?」

敏洙は答えられなかった。その代わり智秀は敏洙の額に口づけた。

25年間味わえなかった子どもの体温が、智秀の唇に残った。

今、その体温は智秀だけのものとなった。

25年の嘘、そしてなお燃え続ける欲望。

この夜は終わらない。

あなたは愛する人のお腹に、どんな秘密を抱えているだろうか。 そしてその秘密を知った瞬間、果たしてあなたは許せるだろうか。

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