午前2時17分、モーテルの廊下は冷たい蛍光灯の下、湿ったカーペットの匂いだけが漂う。314号室のドアは半開きで、隙間から女の吐息がこっそり漏れてくる。
あぁ、そこ…もっと…
知らない声が眩暈を誘うように跳ね上がり、すぐに噛みつくように消えた。私はスマートフォンを固く握りしめ、その場に立ち尽くしていた。二時間前、ジンスから届いた最後のメッセージは
『今、会議終わったから家に帰る』
だった。今まさにその“会議”は私の背後、314号室で行われていたのだ。
ドアノブにはジンスの使っていたローションの香りが微かに残る。指先でそっとなぞると、その粘り気が嘘の実在を証明する。私はドアの前で何もしなかった。ただ、その感触をもう一度、もっと深く、刻み込むだけだった。
また一人食べたのね
お昼休み、カフェのテラス。スジンがスマートフォンを置いて小さく笑った。
「ねえ、ユリ。彼氏のジンス、本当にプレイボーイって聞いたけど?」
カプチーノの泡が天井に張り付いた。ぎこちない沈黙、そして弾ける笑い。
「また一人食べたのね〜」
私は知らん振りをした。もう知っていたことだ。ジンスのカカオトークはいつも女だらけで、彼の首筋には別の香水の匂いが染みついていた。それでも私がしたのは、彼の嘘に「誤解」と名をつけることだけだった。
嘘の中の本音を探す夢見心地
私たちはプレイボーイを知りつつも溺れる。単なる愚かさではなく、嘘の中の本当を見つけたいという執着だ。
「ねえ、今は本当にあなただけを想ってる。他の子たちとは全部演技なの」
午前2時、届いたメッセージ。私はその1パーセントでも本音だと信じてしまう。ギャンブル依存症のように、今回は当たるはず。
騙されるのは単にだまされたというより、自分自身を騙しているのだ。
「この人は私のために変わるはず」 「私は特別なの」
ハヨンの整理
ハヨン(28歳、マーケティング主任)は結婚を控えていた。相手は再婚男のジェミン。みんなが「あの人、本当にダメなやつ」と言った。元妻が傷つき倒れるように去ったという噂も。
「あの女の子たちがジェミンお兄ちゃんを知らないからよ。私は全部知ってて選んだの」
彼女は毎晩ジェミンのトークを隅から隅まで探った。
「彼女いる?」
「いや〜、そういうのじゃないよ」
「そういうのじゃない」という言葉、微細な語彙の違いを分析した。本当に何もない対そこまでの関係はない。
ジェミンの嘘は巧妙だった。「今日は飲み会だ」と言って、元彼女の誕生日パーティーに行っていた。ハヨンは知っても耐えた。「少なくとも私じゃなきゃ絶対耐えられない」と自己愛に溺れたまま。
ジウの宿泊先ストーリー
ジウ(31歳、映画会社企画)は生まれてこの方モテない女だった。初恋は浮気者監督のソジン。毎日新しい女優とのスキャンダルが飛び交った。
「君が編集する映画に私がヒロインでキャスティングされなきゃダメ」
ジウはこの言葉が愛の暗号だと信じた。ソジンが自分を世界に出したいと思っているのだと。
ある日、済州島ロケの宿泊先。ジウはソジンのノートパソコンを開いた。スプレッドシートには女たちのリスト——名前・年齢・職業・『成功率』——が整理されていた。自分の名前もあった。確率:85%。ジウは号泣した。
翌日、ソジンは言った。
「それは昔のものだよ。君と付き合ってからは作ってない」
ジウはまた信じた。85パーセントだった自分が、今は100パーセントになったはずだという、とんでもない確信を抱いて。
なぜ私たちは嘘を愛するのか
私たちが求めているのは真実ではない。真実より美しい嘘を欲しているのだ。
プレイボーイはそこが得意だ。「これは本当だ」と欲望に火をつける。
心理学者バーバーは言った。
「自己欺瞞は愛の本質的な要素だ。私たちは相手を実際に見ているのではなく、自分が望む姿で見ている」
プレイボーイはこの欺瞞を最大化する。「君だけが特別だ」という魔法の言葉で眠らせ、私たちは自分を欺く。
違う、これは愛なの。他の人は知らないから。
最後に
鏡を見なさい。プレイボーイを責めるあなたではなく、嘘を愛したあなたがそこにいる。
それでも今この瞬間、あなたは誰かに「今度は違うから」と囁いているのではないだろうか?