##「これで終わりにしよう。」
部屋の埃一粒残さず拭い、擦り上げた夜だった。23時57分、徹底して交わした約束はたったひと言。
『今日で最後。』
ドヒョンはダンボールの上に腰掛け、3度目のバッグの面ファスナーを止めては外した。短い音が部屋中に響く。ドアが微かに開くたびに聞こえる足音。
私:入ってもいい? ドヒョン:…… 私:終わったんだよ、もう。
その言葉が終わる前に、手が先に動いた。最初に触れたのは手の甲ではなく、干いた唇を湿らせる吐息だった。“今日で最後”という言葉は、潤んだ舌先で粉々に砕け散った。
##割れた体温計
私たちは“終わり”を実感するために触れ合わなければならなかった。目で、指先で、胸で。言葉では絶対に断ち切れない中毒のように。
触れなければ忘れられるかもしれない、だからもっと強く掴んだ。
あの夜、私たちは互いの身体を測る方法を捻じ曲げた。甘かった味を思い出すには、程よい苦みが必要だった。そこで私たちは血の味を得た。
これで最後だ。 そう、これで最後だ。
囁きと喘ぎの間に挟まった二重の嘘が、互いを縛った。
##窓を叩く真鯛
人の名前からして荒唐無稽だった。“真鯛”というあだ名は彼女が最初につけた。正確には2年前、ソウル某所のモーテル。
真鯛は前日に彼氏と約束した。
『今日で終わり。』
午前4時12分、時計の数字が変わる瞬間、真鯛は目を覚ました。隣に横たわる男の腕がそのまま自分の腰に絡んでいた。
「このままじゃダメなのに」という一文が頭の中でグルグル回った。
彼氏:まだ終わってないじゃない。 真鯛:……え? 彼氏:まだ終わってないよ、この味が。
あの日から、真鯛は月に一度だけあのモーテルを訪ねた。毎回同じ部屋、同じ約束、同じ嘘を纏った。
『今度こそ本当に最後。』
別の例は“隙間”というあだ名の男だった。隙間は元カノと別れた後、鍵を一本残しておいた。
隙間:ここまでだよ。 元カノ:うん。
しかし夜ごとに鍵穴を回す手つきは荒くなった。お互いを“訪ねる”間、彼らは以前とは違う身体を重ねた。
結局連絡も取らなくなったが、隙間は未だに鍵を身に付けて歩いている。
『ごめん』という言葉ではなく、『ごめんにならない方法』を探した。
##欲望の痕は汗のように
なぜ私たちは“終わり”という言葉を肌で消そうとするのか。
心理学者たちは“不安定な愛着”について語る。終わらせられるという確信がある時、私たちはかえって終われなくなる。不安定さこそが鍵を回す。
本当の最後がわからないから、もう一度確かめたくなる。
もっと深く潜れば“執着の餌”がある。私の身体が最もよく覚えているのは相手の温度とリズムだ。それを忘れるには、同じ強さで新たに刻まなければならない。だから終わりを真似る。
##格子のない牢獄
あの日から私たちは再び互いの肌を重ねることはなかった。けれどふと、チャイムが鳴るたび手の甲に覚える震えが生々しい。
約束は破れたけど、その熱はまだ私の中に残っていない?
あなたも一度でもそんな瞬間を経験したなら、この問いを避けることはできないだろう。
私たちは終わりだと約束したあの日、いったい何を終わらせようとしていたのだろう。 そしてあなたは、まだその終わりが来ていないことを、私にあとどれほど長く隠し続けられるだろうか。