恋愛心理研究所 愛と恋愛の心理学

彼女が泣くとき、私は心の中で笑っていた

他人の苦しみを密かに味わっていた幼い日々。今も震える手首。あなたも誰かの涙を見て胸がくすぐったくなったことはないだろうか。

サイコスリラー成長小説ソシオパス現代告発17禁
彼女が泣くとき、私は心の中で笑っていた

チェアが泣きながらひざまずいた瞬間、私は心の奥でオルガズムを覚えた。涙が滴る音が、私の耳にはまるでシャンパンのコルクが弾けるように聞こえた。下の階のベランダで起きている音、アパート1階の玄関前の芝生に膝をつくチェアの影。私は4階の手すりに身を潜めて息を呑んだ。手の甲で口を塞いだ。息が漏れないか恐ろしかった。なぜなら、この瞬間、胸の奥が熱くなっていたから。


『そう、もっと大きく泣いて。もっと鮮やかに砕け散ってみて。』


ガラス越し、最初の味

小学1年の春。遊び場の隣の養鶏場の塀。クラスの子たちが集まって立っている。炭火の匂いの混じった空の下、ひとつ年上の兄が弟を連れてきた。兄はアヒルのくちばしを掴んで引きちぎろうとし、弟は羽だけ抜いて風に乗せる。ひよこたちが死んでいく。私はそのとき後ろに隠れていた。息を殺し、唇を震わせ、身体がくすぐったくなった。誰も私に気づかなかったけれど、私は自分が見つかったみたいに心臓が張り裂けそうだった。


誰も私を見なかった。でも私は見た。そして初めて味わった


翌日、担任はクラスの前であの日の光景を語った。子どもたちの瞳には憐憐が浮かんだけれど、私にはその憐憐があまりに美しくて、また胸の奥が煮えたぎった。誰かの苦しみを目の前で見ることは、テレビのドラマより鮮明なリアルタイムの音だった。私がそこに立っているという事実、私が無言でそれを消費しているという事実が、どうしてもゾクゾクした。


「はちみつ」って呼ばれた放課後

4年生、放課後の学童。「今日も行く?」ジンウが囁いた。私たちには秘密のルールがあった。『はちみつ』とは誰が涙を流すか、誰が間違って捕まるかを賭けた鬼ごっこ。鬼は必ず“無実の人”になる。私たちは教室の裏口からそっと入り、誰かの筆箱を隠したり鉛筆を折ったりした。翌日、怒った子が虫のようにもぞもぞと泣けば、私たちは内側で蜂蜜が滴る音を聞いた。

その日はヒジンだった。ヒジンは家が貧しくて、上着を2着しか持ち替えないことを私たちは知っていた。ジンウがヒジンの一番きれいな服を盗み出した。タンスの上に置いて、お菓子の屑をまぶした。アリが這い上がり、真っ黒な染みを描いた。ヒジンが涙声で「お母さんが…」と呟いたとき、私は振り返って教室のドアを閉めた。カチッ、音が大きすぎて怒られたけれど、その瞬間、心臓が張り裂けそうに高鳴った。ジンウと私は目を合わせて笑った。これは「ゲーム」じゃなかった。私たちだけの神聖な儀式だった。


私たちは神になった。誰かの運命を揺さぶる力を持つ、真っ黒な神になった。


なぜ私は、他人の苦しみが甘かったのか

心理学者キェルケゴールは「恐怖の魅力」を語った。他人の苦しみは私を安全地帯に置きながら、同時に鳥肌立たせる。私はそのたびに**「私じゃなくてよかった」という罪の意識と「もしも私がその苦しみの真ん中にいたら」という想像を同時に抱えていた。私は苦しみを食べて成長した。父はいつも言った。「人が苦しんでいたら、お前は助けてやらなきゃだめだ」と。でも父の言葉は虚ろに漂った。ガラス越しで私は「苦しみをもっと大きくする方法」**を覚えた。苦しみは私を包む毛布だった。私はその中でしか呼吸できなかった。


心的欠如。それが正しいのかもしれない。私は実は誰かの涙が私の涙になってくれるだろうという信じて、あるいは涙ひとしずくで私の心が溶けるだろうという期待を抱いていた。


でもその期待は、いつもキャンディーのように甘いだけの味を残して消えていった。


今も震えるあなたの手首

先週、地下鉄2号線。女子高生がスマートフォン越しに母親に涙声で話している。お母さん、本当に辛い…先生が…私はうつむいた。彼女の涙が私の頬に触れるような気がした。スマートフォンの画面が震えた。私は彼女の声を聞くだけで、また胸がくすぐり始めた。そしてすぐに怒った。自分自身に。「あなたはまだあの頃の小さな子どもなの?」


私は逃げた。彼女の涙が私の中に入る前に、私は静かに逃げた


私が学んだのはただひとつ。苦しみは私ではない別の場所にあるときだけ美しい。それが私の中に入ってきたら、私は静かに逃げ出す。そしてまた窓の外を見下ろす。あなたは今も、誰かの涙を見て微笑んでいないだろうか?顔を背けられないまま、手のひらに隠されたとても小さな不安なきらめきを。

← 一覧へ