午後11時47分、玄関の前で
「そろそろ帰らなきゃ。明日は朝早いんだ。」
ミンスがドアノブを握りながら呟く。
あなたはもう少しだけ居てくれと甘えるつもりが、「この瞬間が最後かもしれない」と思うと声が出せない。
4年になる。手を繋ぎ、キスをし、体の隅々まで知り尽くした関係。
それなのに、彼の部屋はいまだにブラックボックスだ。
玄関の向こうの暗闇が、まるであなたを飲み込むように迫る。
隠された欲望の地図
「部屋が散らかってて……」最初はそんな理由だった。
次は職場が遠くなった、兄と同居している、親が頻繁に来る――理由の連鎖は尽きない。
あなたは笑顔で受け流したけれど、心の中では「いいじゃない、一度だけ」何百回と叫んだ。
そして自分に問う。
一体、私は何を見たいというの?
実は知っている。部屋に行けば砕け散るものが何かを。
- ベッドに落ちた別の女の髪の毛
- 冷蔵庫に貼られた「彼女」というキャラクターステッカー
- あるいは、ただ――あなたの居場所がない空間
真実は胸を突き刺す。
「部屋に入りたいのではなく、検証されたいの。私はこの関係で安全なのかって。」
彼女たちの地下室
ジヘ、31歳、6年交際
「毎晩車で送ってくれるの。家の前で30分も車の中で話してくれます。優しいじゃない?」
ジヘはため息をついた。
去年の冬、彼がトイレに急だと言ってジヘの部屋に上がった。3分で出てきて、4年ぶりにバルコニーで煙草を吸った。
「でも最近知ったの。彼の実家はまったく別の街で、私が知ってた住所は友達の部屋だったって。」
ジヘは瞬いた。涙ではない。瞳に渦巻くのは「6年間、私は何だったの?」という問いだった。
アラ、29歳、3年交際
「私たち、ずっとホテル通いでした。最初はロマンチックだと思って。」
アラはショッピングバッグを提げている。中身は彼のためのスリッパ、歯ブラシ、タオル――結局持ち帰った未使用の品々。
「昨夜もそう。急に雨が降ってきて『傘貸して』って言ったら、彼が届けると言って結局来なくなった。」
彼女はバッグを床へ置いた。
「私が用意した全てが、彼が私を呼ばない理由になってたのね。」
タブーの庭
なぜ私たちは、入れない空間にこうも執着するのか。
それは牢獄の部屋のようだ。
自分の居場所がないかもしれないという恐怖を抱きながら、同時に本当にそこが自分の墓になるかもしれないという密かな興奮も覚える。
心理学者は言う。「拒絶は衝動を強める」と。
部屋という空間は単なる物理的場所ではなく、関係の最も深い領域だ。
彼がそこにあなたを招かないということは、最もプライベートな自分の一部を共有しないという意志表明。
そしてそれは恐ろしいほど魅力的だ。
「私はまだ彼のすべてを知らない。この関係には未知の領域がある。」
この未知が、あなたをまたそこへと立たせる。
今夜、あなたはまた玄関の前で
だからまた立っている。
ミンスは車から降りてくれた。
「ここまででいい。また明日。」
あなたは微笑んで頷く。でも足が動かない。
「今聞いてみたら?『なぜ私は行けないの?』って。」
でも唇は閉ざされたまま。なぜなら、答えは既に知っているから。
本当の問いは別にある。
その答えを聞いた後も、あなたはこの瞬間をなお愛せるだろうか?
ミンスが背を向けて歩き出す。
あなたはその後ろ姿に囁く。
「部屋に行かなくていい。ただ、私の知らない場所で何を隠しているのか、教えて。――いや、やめて。今日もありがとう。」
そしてあなたは自宅へと向かう。
未だ彼の部屋を知らず、未だ彼を知らず、未だこの傷を愛して。