恋愛心理研究所 愛と恋愛の心理学

最初の家の契約書に書かれなかった彼女の分、僕が埋めなければならない空白

結婚初めての住宅ローン書類に彼女の名前がなかった日、僕はその瞳の奥にある静かな計算を見た。

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最初の家の契約書に書かれなかった彼女の分、僕が埋めなければならない空白

彼女がドアを閉めて出て行った6秒間

「この書類、私の名前はどこにもないね。」 白い封筒を閉じた瞬間、ジヨンはため息を飲み込んだ。 3億5千万、30年かけて返す借金の書類に落ちたペンの痕が、まるで僕の署名のように黒く滲んだ。 印刷された「連帯債務者」欄は空欄だった。

部屋を出て行くとき、彼女が零した言葉はもっと冷たかった。

つまり、あなたの家なのね。

ああ、そうだ。僕たちの家だ。 玄関のドアが閉まる音が響いた。 僕はまだゴム手袋をはめたまま契約書の封筒を握りしめていた。 さっき署名した自分の名前が恥ずかしかった。


欲望の解剖:価値3億の「僕たち」

僕は彼女のいない書類に「僕たち」と書き込んだ。 しかし彼女はまばたきひとつで、それを丸ごと消してしまった。

不動産契約は即ち遺産契約だ。 片方の名前しかない家は、誰かの葬儀場になりやすい。 僕が飲み込んだ慰めは、単なる「責任」ではなかった。 所有という免罪符だった。

結婚するとき、僕たちは「半々」と囁き合った。 しかしローンの限度は僕の年収で算出された。 銀行員は言った。 「ご夫婦で共同名義にすると金利が上がりますよ。」 その一言に僕は沈黙した。 0.2%の割引が3千万円に相当した。 実際のところ、0.2%ではなく、僕のプライド100%を買ったのだ。


リアルすぎる物語たち

1.「未来」という名の沈黙

ウンソは今日も掃除機をかけた。 3年前に引っ越してきたときに選んだ床材の上で。 彼女が選んだ色だったが、契約者は「パク・ジュンヒョク」ただ一人。

分譲事務所で係員が言った。 「ご配偶者は同意書だけで大丈夫です。」 ウンソはぬるま湯をひとくち飲んだ。 私が選んだ家なのに、私が住む家じゃないんだわ。 ちょうど購入確定書類がプリントアウトされ、ジジーと音を立てた。 熱い紙の匂いが部屋中をなめた。

夜。 彼女はテレビの前で言った。 「結婚前に私が出した敷金保証金がなかったことになってると思ってる?」 ジュンヒョクはリモコンを置いた。 ウンソの瞳は冷たくも熱くもなかった。 ただ計算していた。 3年間、36ヶ月、彼女が得られなかった利息を。

2.「名義」という名の暴力

ヘジンは息子のイェジュンを学校に送り出して、カフェを開けた。 両親の小遣いで出した小さな店だったが、法人名義は夫の「チェ・ドヒョン」。 税理士が言った。 「ご夫婦間の所得配分をきれいにするには……」 その後は聞こえなかった。

ヘジンは私が稼ぐお金も、私が育てた子どもも結局あなたの姓を名乗るのねと呟いた。 ドヒョンが退勤してカフェに入ってきた。 イェジュンの塾の送迎代を扱ったかと訊いた。 ヘジンはただ頷いた。 そのお金もあなたの口座から出たんだわ。

その夜、枕元に置かれた一枚の書類。 ヘジンが作成した「事業者登録証名義変更申請書」。 ドヒョンは寝たふりをした。 ヘジンも目を閉じた。 二人は互いの息を数えていた。


なぜ僕たちはそれに惹かれるのか

家はもはや住む場所ではない。 証拠だ。 誰がもっと稼いだか、誰がもっと長く残るか。 法的な所有は即ち感情的な持ち分だ。 片方の名前の書類は、もう片方の痛みを生む。

心理学者たちは言う。 「不公平感」が結婚満足度を最も下げると。 しかし不公平は数字ではなく瞳から読み取られる。 契約書一枚が夫婦の間を蛇のように這い回り、*君がもっと責任を取るべきじゃない?*と囁く。

さらに僕たちは「責任感のある夫」という古びた男性像にも囚われている。 ジヨンが零したあの言葉。 「つまりあなたの家なのね」は実は遠慮だった。 もっと悲しいのは、その遠慮を壊す方法がないことだ。


ドアが閉まった後、まだ

数日後、ジヨンが家に戻ってきた。 玄関が開くとき、僕はコーヒーを淹れていた。 彼女は言った。 「契約書、書き直す?」 僕は答えられなかった。 書き直しても彼女の瞳は消えるだろうか。 むしろ書き直さなければ、その瞳が一生付きまとうような気がした。

認めたくないのは、その瞳が彼女だけのものではないという事実だ。


今あなたの家の契約書には誰の名前が書かれているのだろう。 そしてその空白を誰が埋めているのだろう。

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