光の一筋に震えが伝わる
夜の11時、駐車場の端に停められた彼のルノー・キャプチャーの中に沈んだ。窓越しにオレンジ色の街灯がぼんやりと差し込む。彼は無言でステアリングを握り、ハンドルの上――ほんの1センチ――人差し指と中指の間に置かれた手甲へ、私の全身の神経が集中した。
「ここから左に曲がると、どこに出る?」 「わからない。俺も初めての道なんだ」
黒い手袋のように小さなハンドルが微かに左右に振動した。その瞬間だった。ゲーム機から漏れるエンジン音――「ブォォォォン」と――水面を揺らしながら彼の手甲に触れた。それはただの振動ではなかった。実際の車でもなく、単なるちょっとした関係でもない何かが全身に染み込んだ。
震える感覚の裏側にあるのは、なぜあの手甲なのか
なぜ彼がゲームをしているとき、観客である私はそれほど不安になるのか。彼は仮想トラックを走っているだけなのだ。でも私はその回転の合間に割り込んでしまう。息が詰まる。目の前にハンドルがあり、その上を流れる低音の振動が――耐えられないほどに興奮する。ハンドルは運転道具であり、私たちの間のガラス窓であり、同時にタブーの扉でもある。彼が力いっぱい切るたびに、私は「私も一緒に切られてしまうのでは」と奇妙な錯覚に落ちていく。
ジミンとテホの一日、あるいはあの日の中間地点
- ジミン、28歳、デザイン会社の新人。テホ、31歳、同じチームのチーフ。
飲み会のあと、車を呼ぶのを待っている間、テホはいつものようにハンドルを握ってスイッチを入れた。ジミンは助手席のドアを開けるたびに心臓がドキンと跳ねた。まだ「ときめき」と呼ぶには恥ずかしい感情だった。
「今日はどのコース?」 「日本橋から箱根まで駆け抜けるんだ」
彼が言う間、ジミンはハンドルの上を動く彼の親指を見つめた。長く曲がった指の関節の間に、仮想アクセルを踏む圧力が流れている。ジミンはふともしかして今、私にもそんな圧力が届いてほしいのかなと長く息を吐いた。
一時間後、地下駐車場にふたりきりで残った。テホはゲームを消さなかった。代わりにエンジン音だけを下げて、その手甲をそっとジミンの膝の上に置いた。言葉はひとつもなかった。ただハンドルの微かな振動がジミンの太腿にまで広がっていっただけ。
その夜、ジミンは眠れなかった。「本物の車でもないのに、どうしてこんなに震えるのだろう」という問いだけが残った。
なぜ私たちはタブーの震えに魅了されるのか
振動は身体の最も奥深い場所――*脛骨から始まり脊椎を這い上がる低音――*を刺激する。内臓を叩くような感覚は生存本能に近く、意識の外側を揺さぶる。ゲームのハンドルを握る瞬間、私たちは「実際の運転」という社会的役割を一時的に置き去りにする。同時に相手との接点が普段より近くなる:単に助手席に座るのではなく、ドライバーの筋肉の動きまで覗き見る位置に。
その震えは私に届きたがっている。 それなら私は何になるのだろう。 乗客か、同乗者か、それとも……
私たちは限りなく安全な状況で危険を奏でる。ゲーム内のトラックは現実から切り離されているが、その狭間で私たちはお互いを耽溺する。二重の安全装置――車内、ゲーム内――のおかげで欲望はより鮮明になる。
まだ終わらない文章
今、あなたも誰かの部屋の片隅に置かれたゲーム機を見て胸がドキンとしたことがないだろうか。あるいは彼がハンドルを握る瞬間、あなたは膝をぎゅっと掴んだ記憶。あの震えは単なる好奇心ではなかった。言葉では決して出せない欲望だった。
ならば、今この瞬間もあなたの心を静かに揺らすあの震え――果たして誰のものなのだろう。