「あいつの手、どうしたの?」
中2の教室裏口。昼休みのチャイムが鳴るや否や、みんなはお弁当の匂いを追って駆け出した。私だけが机に貼り付けられた人形のように残った。左手は教科書に挟み込んだリモコンのように固くなり、右手はかすかに震えて止まった。ベルトの内側に染み込んでくるのは恐怖より速い電流だった。
これをしたら悪い子になる。でも止められない。
三センチもない時間がため息のように過ぎた。登校途中に屋根の形を影として落とす幸運の12階建てマンション。8階エレベーターの扉が閉まる音が耳に突き刺さった。扉が閉じるとき、誰かが囁いた。
また来たんだね。
隠されたコード
体が反応し始めたのは玩具のせいではなかった。母が買ってくれた『数学の解法』に挟んだシャープ芯が最初の火種となった。尖った先が柔らかい紙を突き刺す瞬間、心臓が頭の先まで溢れた。
その日から私は筆箱を捜査する探偵になった。マーカー、鍵、丸いシャープ芯ケース、スケボトラックのボルトまで。どれも荒かった。柔らかさなど求めなかった。
学校でも同じだった。体操服のポケットに入った赤いテープ部活動リボン——首に巻くと絞めつける亡霊のような感覚が首筋をくすぐった。友達はそれをただ「リボン」と呼んだが、私だけが本物の革に見えた。
ひとり残されたままで
高1の夏休み、ジウンの話を聞いた。同じ塾の前のコンビニで知り合った、一つ上の姉。ジウンはミルク1パックを蓋ごと噛みながら言った。
「徹夜で問題をめくってたら手首が痺れてきたの。でも変だった、痛いのに何か違う感じがした。」
彼女は手の甲の薄い傷痕をちらりと見せた。ハサミの刃で腕の内側をかすめ、そこに触れる布の感触を楽しんだという。赤い線一本で世界が変わったという彼女の言葉に、私は8階エレベーターで出会った再生スチロフォーム箱を思い出した。毛が生えたような欠けた面がこすれたとき、思ったよりずっと粗かった。
エレベーターが5階で止まる直前、扉が開く前に終わった。誰も知らなかったが、私はスチロフォームの粉をズボンのポケットに入れてきた。しばらくそれを弄んだ。
私たちはお互いの秘密を重ねた。ジウンが聞いた。
「あなたが一番荒かった瞬間は?」
私は答えた。扉が閉まるエレベーターの中で、ひとり残される3秒。あの短い瞬間、世界はまるで私だけのものになった。
タブーの味はなぜ甘いのか
心理学者マックレランドは「欲求の三角形」を語る。達成、権力、親密。しかし私たちの体は4つ目を隠している——それがタブー。禁断の実は甘くしかない。
学校のカウンセリング室の壁に貼られた性教育ポスターはいつも「一緒に」だった。手をつないで笑う男女。私は絵の外に立っていた。ひとりで笑い、ひとりで息を殺し、ひとりで終わった。
だからだろう。私の性的な想像はいつも「ひとり残されること」で終わった。
ジウンと私はお互いを鏡にした。彼女は私に権力を、私は彼女に嫉妬を贈った。お互いの荒さを借りながら、けして一緒に終わることはなかった。
ジウンが手の甲の傷痕を見せるたび、私はポケットのスチロフォーム粉を固く握った。それは私たちだけの独占通貨だった。
あの荒さは今も
二十五歳、今この瞬間も私は指の温度を思い出す。交通カードを押し込むプラスチックの固さ、箒の柄の木目がまだ反応を引き起こす。恋人の手よりも速く。
柔らかいものが怖いわけではない。ただ忘れられるのが怖い。
あの荒さが消えたら私も消えてしまうように。
ジウンはある日連絡が途絶えた。大学受験崩壊だったのか、それとも被害意識だったのか。彼女も私のようにスチロフォーム粉をポケットに入れていたのか、それとも誰かの荒さを許したのか。私はまだ知らない。
だからだろう。私はまだひとりだ。
あなたはまだひとりか、それとも誰かの荒さを許す覚悟ができているか?