「これ……誰が撮ったの?」
ノートを開けた途端、画面に飛び込んできた一枚の写真。ぼやけた照明の下、手錠を嵌められたままひざまずく女性の後ろ姿。黒いリボンの紐が腰を締めつけていた。髪はきつく結われ、首筋が露出していて、そこに刻まれた小さなタトゥーがくっきりと浮かんでいる。
それは今朝、私が目にした彼女の首筋だった。
兄が急いでトイレに立った隙、震える手でダブルクリックした。隠しフォルダの名前は『Library_02』。そこには数百枚を超える写真が日付ごとに整理されていた。彼女ではないものも、彼女であるものもあった。
しかし最も衝撃だったのは、写真の中の彼女の表情だった。いつも静かで礼儀正しい彼女ではなかった。目を半眼にして唇を開いた表情。まるで何かを切望しているかのようだった。
彼女の闇に向き合った瞬間
一体いつからだったのだろう。兄が連れてきてからもう8ヶ月。うちに来るときはいつも控えめな足取りで歩いていた。母の手伝いをし、父には90度のお辞儀をしていた彼女。
そんな彼女が写真の中ではまったく別人だった。黒いレザーマスクを被り、誰かの足先に額を押しつけている。その誰かが兄なのか、それとも別の誰かなのかは分からなかった。
私はその場に凍りついた。ノート画面に映った自分の顔は青ざめていて、心臓が喉までせり上がってきたようだった。
これは単なる「セクシーな写真」ではなかった。これは……もっと深く、陰湿な何かだった。
兄の彼女、ソヨンという女性
ソヨンは大学院で美術史を専攻していると言っていた。初めて会ったとき、彼女は薄いグレーのニットを着ていて、首にかかったパールのネックレスが柔らかく光っていた。
兄に紹介されたとき、彼女はこう言った。
「こんにちは、お兄様。いつもお話を伺っていたので、お会いできて嬉しいです」
あのときの彼女はありきたりだった。ごく普通だった。だからこそ衝撃が大きかった。
フォルダの写真は3年前から始まっていた。つまり兄と出会う前から、彼女はすでにあの世界に足を踏み入れていたのだ。
別の写真の中の男
日付を遡っていくと見つけた。2021年12月24日。クリスマス・イブの写真。
「これ……兄じゃない」
写真の男は兄とはまったく別の体型だった。背も高く、肩も広い。その男の手に導かれるようにどこかへ入っていくソヨンの後ろ姿が写っていた。彼女の手首にはすでに手錠が嵌められていた。
これは裏切りなのか? それとも彼女の本質なのか?
なぜ私たちはタブーから目を逸らせないのか
ソヨンの写真を見ながら気づいた。私たちは誰かの外見に騙されるのではなく、自分たちが望む象徴に騙されるのだ。
彼女が*「兄の彼女」*という安全な枠組みに収まっているとき、私は彼女を少しも疑わなかった。
しかし彼女は単なる「礼儀正しい女性」ではなかった。彼女は自ら選んでその闇の中へと歩み入った人間だった。
そしてその事実は、私を含めた私たち全員が抱える暗い想像力を刺激した。
心理学者は言う。人間はタブーを目にするたびに本能的により深く覗き込むようになると。*「なぜ彼女が?」ではなく、「知らず知らずのうちに自分もそれを望んでいるのでは?」*という問いへと変わるのだ。
最後の写真
フォルダの最後の写真。撮影日は昨日。
「今日も……よろしくね」
写真の彼女は微笑んでいた。しかしその微笑みの奥に別の何かが見えた。まるで誰かから完全に解放されたいという、そんな微笑み。
私はノートを閉じた。兄がトイレから戻ってくる足音が聞こえた。
そしてふと、私はソヨンをもう兄の彼女としてだけでは見られなくなっていた。
もしあなたが誰かの恋人、あるいは友人の恋人に隠された闇を発見したら、果たしてそれを無視できるだろうか? それとも知らず知らずのうちに、その闇をより深く探りたいという衝動にかられてしまうだろうか?