白いシーツに残る赤い跡
白いシーツの上に、小さな赤い点。それだけだった。爪ほどの大きさの生理の血がこびりついていたのは土曜の午後、彼がゴルフの集まりに出かけた直後だった。
私はあわててシーツをはがした。30年、なぜ今さら。手にしたシーツは心臓のように鼓動していた。洗濯機に放り込み、漂白剤をぶちまけ、目をつぶってスタートボタンを押した。
それでも頭の中では、もう終わったはずの出来事が蘇る——先週の水曜日、午前2時。あの日は生理最終日で、万が一の痕跡が残らないようにパッドを2回替えたというのに、やはり一滴漏れてしまった。
なぜこの小さな点が夫のベッドに落ちたのか。私はひとりで眠っていたわけではないのに。
秘めた吐息
私は30年目の妻だ。夫は私のことを「貞淑な妻」と呼ぶ。いつだってベッドの上に厚い布団一枚、枕の間隔はぴったり20cm、就寝時刻は午後11時30分。30年間、同じ姿勢で眠ってきた。
そしてその隙に、私は別の誰かと息を殺して肌を重ねた。
息を殺せば、息はさらに大きくなる。
ドアの前にスマホを伏せ置き、通知はすべて消し、玄関の音が聞こえたら飛んでいってセキュリティを解除した。彼が帰る40分前に、タオルで汗を拭い、マットをひっくり返し、口紅の跡は手の甲でごしごしと消した。
それでも一滴の血がシーツを貫いたのはなぜだろう。
二つのベッドの物語
ケース1. スジン、52歳、釜山
彼女の夫は30年間同じ場所に横たわる人だ。昼下がり、夫が出張で不在のすきに、近所のジムのトレーナー・ミンスとベッドを共有した。ベッドは彼女のものであり、夫のものでもあった。
ミンスは28歳、彼女は52歳。ミンスは首筋を掴んで言った。
「知らなかったよ。奥さんがこんなに熱いなんて」
スジンは笑った。30年間で初めて聞いた言葉だった。夫は毎朝、枕元に置かれたコーヒー一杯を受け取るだけで、ぱっと背を向ける。ミンスは熱い吐息を彼女の腹部に注ぎ、瞳を合わせて言った。
「ここに、小さな赤い点があるね。誰がつけたの?」
生理最終日で油断していた。ミンスは指先でその点をなぞった。白いシーツに小さな赤い染みがにじんだ。スジンは怯えてあわてて拭ったが、その夜夫はシーツを見下ろして尋ねた。
「これ、何?」
スジンは言葉を失った。赤い点はすでに乾いて固まっていた。夫はしばらく眺めてから、そのまま振り返りシャワーへ。そして一か月間、ベッドを避けた。
ケース2. ヨンミ、48歳、仁川
彼女は従弟ジフンと20年目だ。ジフンは9つ年下、恋愛経験は指に数えるほど。3年前、ヨンミの誕生日に夫はゴルフ大会に出かけた。ジフンは誕生日ケーキを抱えてやってきた。
二段ベッド、夫が買ってくれたキングサイズ。ジフンはヨンミの肩を軽く叩いた。
「お姉さん、本当に50歳なの?」
ヨンミは笑った。あの日は生理初日、下腹が重かった。ジフンは慎重に彼女の腰を抱いた。擦れば、生理の血が漏れるかもしれない。ヨンミは怯えたが、ジフンの手は温かかった。
窓の外に雨が降りしきった。ベッドの上で二人の息が絡み合った。
それ以降、ヨンミは生理周期をチェックした。ジフンが来る日はいつもパッドを二重にした。しかし一度、失敗した。パッドが歪んで血がシーツに滲んだ。
翌朝、夫がベッドを見て尋ねた。
「生理じゃなかったの?」
ヨンミは答えられなかった。夫はすでに知っていた。一か月後、夫は離婚届を突きつけて言った。
「このベッド、君と僕だけのものだと思ってた」
赤い点が残した欲望の真実
なぜ私たちは30年目のベッドに他者の吐息を必ず隠さねばならなかったのか。幼い頃、親のベッドの陰で息を殺していた記憶のせいだろうか。それとも弛んだ関係に火を点けたい欲望のせいか。
タブーはいつだって現実より激しい。
赤い点ひとつは、単なる生理の血ではなかった。30年間閉じ込められてきた欲望の尻尾だった。夫はその点を見てベッドを離れた。いや、実は私たちはとっくにそのベッドを離れていたのだ。
シーツを替えても、漂白剤を注いでも、その点はかすかにも消えなかった。それは私たちがすてた時間の重さだった。
あなたのベッドには何が残っているか
30年目のベッドの上、あなたは何を隠しているのか。そしてその隠し事がいつか小さな赤い点のように露見したとき、あなたは必ずその点を拭おうとするだろう。
しかしその点はあなたの欲望であり、あなたはすでにその欲望の中にいる。
赤い点ひとつ、それがあなたではない誰かの吐息なら——あなたはそれを消せるだろうか、それとも結局その場所に横たわるだろうか。