「今日はダメ、すごく疲れてるの。」
智勲は喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。ベッドサイドのランプは相変わらず柔らかい灯りを投げかけているが、その下に横たわる二人はここ2年間、一度としてその光の中で互いを見つめたことはなかった。ただスマホの画面が顔を青白く照らすだけ。
智勲はゆっくり息を吐いた。指先がむず痒い。*布団の中でそっと手を伸ばしてみてもいいかな。*でも彼は知っている。妻・スジンの体はすでに岩のように固くなっていることを。彼女の背中はベッドと一体化し、吐息さえ凍りついているような気がした。
ベッドは今や墓場だ
結婚10年目のベッドは恐ろしい場所だ。愛の墓であり、未来の骨壺。そこにはもう触れ合う手も、絡み合う息もない。ただ二つの亡骸が並んで横たわっているだけ。
なぜ私たちはここにいるの。
スジンは目を閉じたまま呟いた。この問いは毎晩繰り返されるが、答えはない。ただ深い沈黙が胸に重くのしかかるだけ。
欲望はどこへ消えたのだろう。最初は指先が触れるだけで電流のような快感が全身を駆け巡った。智勲の吐息がスジンの首筋に触れるたび、スジンは掠れた声で呟いた。
「はあ……私、もう駄目。」
あの時は本当だった。でも今は違う。スジンの体は節のように固くなり、智勲の視線は妻の体を素通りして壁の傷に留まる。彼らは互いの体について知りたくない。知らない方が楽だ。知ってしまえば、もう逃げ場がなくなるから。
音のない戦争
「あなたは今でも私を欲してるの?」
スジンは洗面所の鏡の前で独り言を呟いた。鏡の中の女の目は焦点を失って虚空をさまよっている。彼女はゆっくりとブラウスのボタンを外した。胸の下に垂れた脂肪、もう隠す必要もない。彼女はその肉が智勲に何を思い出させるかをよく知っていた。
*死んだのよ。*スジンは思った。私たちの間にあったものが死んで、私も死んだみたい。
彼女はベッドに戻った。智勲は相変わらず目を閉じていた。でもスジンは知っていた。彼も起きていることを。
「今日、誰かからメッセージが来てたわ。」
智勲が目を開けた。とてもゆっくりと。
「え?」
「昔一緒に働いてた人で……昨日飲みに行ったって。」
スジンはため息をついた。彼女は智勲が誰のことを言っているか知っていた。彼女もその人を知っている。彼らは互いが互いを知っている関係だった。だからこそ残酷だった。
智勲は心の中で笑った。*お前だって知らないふりしてるだろ。*スジンが誰かから受け取ったあのメッセージ。それこそが彼女が求めているものかもしれない。誰かの欲望の中にでも存在していたいという欲望。それが彼女の体を生かしている。
ベッドの下に隠されたもの
彼らは3年前から正確に同じ時刻にベッドに横たわる。11時47分。テレビを消し、スマホの充電器を差し、布団をかける。そして息を殺す。
でもベッドの下では何かが蠢いている。智勲はスジンがこっそりスマホをチェックするのを見た。スジンは反対側で智勲が誰かとやり取りしているのを見た。彼らは互いの秘密を知りながらも、互いに手を差し伸べない。
なぜ私たちはここにいるの。
スジンは再び尋ねた。今度は声に出して。智勲は答えた。
「ただ……ここにいるんだよ。」
その一言で全てが語られた。彼らはここにいた、これからもここにいる。そしてそれが一番怖いことだった。
欲望の根
なぜ彼らは結婚したのだろう。愛があったからだろうか。それともただ時期が来たからだろうか。
スジンは智勲の母親が気に入ったという理由で、智勲はスジンが落ち着いているように見えたという理由で。欲望はいつ消えたのだろう。いや、最初からあったのだろうか。
彼らは互いの体を欲したが、互いの内面を欲しなかった。だからその体もすぐに消えた。
ベッドは今や墓場だ。彼らは互いを埋葬し、互いを忘れ、互いを消す。そしてそれこそが結婚10年目の真実なのだ。
あなたのベッドは何か
この瞬間、あなたのベッドは何ですか。
あなたはその上に横たわり、誰かを殺したいという衝動にかられたことはありますか。
それとも、あなたはすでに死んでいるのでしょうか。